Japanische Klassiker mit Furigana
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らいほうとうものがたり
雷峯塔物語
田中 貢太郎
Lesen Sie 雷峯塔物語 (らいほうとうものがたり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.606 Zeichen · 45 Bildschirme
道人は起きあがるなりどこともなく逃げて往った。
四月八日の仏生日がきた。許宣が興が湧いたので、承天寺へ往って仏生会を見ようと思って白娘子に話した。白娘子は新しい上衣と下衣を出してそれを着せ、金扇を持ってきた。その金扇には珊瑚の墜児が付いていた。
「早く往って、早く帰っていらっしゃい」
そこで許宣は承天寺へ往った。寺の境内には演劇などもかかって賑わっていた。許宣は参詣人の人波の中にもまれて彼方此方していたが、そのうちに周将仕家の典庫の中へ賊が入って、金銀珠玉衣服の類を盗まれたという噂がきれぎれに聞えてきたが、自分に関係のないことであるからべつに気にも止めなかった。
「もし、もし、ちょっとその扇子を見せてください」
許宣と擦れ違おうとした男がふと立ちどまるとともに、許宣の扇子を持った手を掴んだ。許宣はびっくりしてその男の顔を見た。男は扇子と扇子につけた珊瑚の墜児をじっと見てから叫んだ。
「盗人、盗人をつかまえたから、皆来てくれ」
許宣はびっくりして分弁しようとしたがその隙がなかった。彼の体にはもう縄がひしひしと喰いいってきた。彼はその場から府庁に曳かれて往った。