Japanische Klassiker mit Furigana
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しんさいにっし
震災日誌
喜田 貞吉
Lesen Sie 震災日誌 (しんさいにっし) von 喜田 貞吉 (きたさだきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.617 Zeichen · 40 Bildschirme
さらにいま一つの濾し桶を用意して、五戸の用水に不足がないようになった。水道はあってもやはり井戸は潰されぬ。
古藤田君のお宅は仕合せにも壁が少々落ちたくらいの程度で、被害が少い。しかし両三日前に校了になった雑誌の九月号はまだ刷が出来上らぬうちに版が崩れてしまったに相違ない。印刷所たる秀英舎市ヶ谷工場の被害が気にかかる。区会議員たる古藤田君は臨時区会に招集されて不在だった。
指ヶ谷町の停留場へ出る道筋には、被害がことに多く、右側には軒並に倒れ家が続いている。跡見女学校の附近にも倒れ家が多い。丸山福山町には荷物を満載した避難者の荷車がいくつも並んでいる。坂を上って本郷西片町へ出ると、ここはやはり台地の上とて案外に被害が少い。念のために高橋勝君(文部省図書局嘱託)を訪うてみると、同君は蚊帳の中で高いびきの態だ。ただし家族の方々は庭に毛布を敷いて露宿の準備をしておられる。東片町に藤井甚太郎君(日本歴史地理学会幹事)を訪うと、これもすでに門を鎖して何の音もしない。お隣の萩野〔(由之)〕先生を驚かすでもないとその御無事な外観を見ただけで失敬した。転じて本郷の通りへ出て、焼けたという一高へ行ってみると、これも噂ばかりで何のこともない。