Japanische Klassiker mit Furigana
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しんさいにっし
震災日誌
喜田 貞吉
Lesen Sie 震災日誌 (しんさいにっし) von 喜田 貞吉 (きたさだきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.617 Zeichen · 40 Bildschirme
それを通り抜けて叔母の宅へ行ってみると、住宅その他は近所のすべての建物とともに、何物をも残さず焼けてしまった中に、ただ一つ奇態にも木造二階建の事務所のみが無事に災を免れて、そこへ叔母の長男が来ていたので、やっと家族の避難先が判り、親しくそれを訪問して帰ったのだという。初め深川の宅では最初の地震とともに火が諸方に起ったので、類焼を覚悟して重要な書類や家財を荷車四台に満載し、小名木川筋に沿うて東に避難しかけたのであった。おりから外出中の叔父も自宅を案じて自転車で駆けつけたが、火の廻りが案外に早く、大波のごとくに寄せ来る避難者の群れに捲き込まれ、その車も自転車も人浪の間に引き棄て乗り捨てる。そのうちに三男と四男の姿をも見失って、残りの家族だけでやっと身をおりから通りかかった舟に托し、そのまま今もその舟の厄介になり、亀井戸の先の竪川六ノ橋の畔に碇泊しているとのことであった。そしてその見失った二人の子息の行衛は今もって不明なのだという。それは飛んだことになってしまったと、さっそく後から来た妻のすぐの弟と、自分の次男とに、差当りの着がえや、毛布や、その他の雑品、罐詰、飯などを持たせて見舞にやる。