Japanische Klassiker mit Furigana
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れいこんだいじゅうごうのひみつ
霊魂第十号の秘密
海野 十三
Lesen Sie 霊魂第十号の秘密 (れいこんだいじゅうごうのひみつ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.100 Zeichen · 86 Bildschirme
母親は、どう応えるであろうか。
「死にはいたしませぬ」
母親の声は悲鳴に似ている。
しかしそれを聞いて隆夫は、ほっと胸をなでおろした。機会は今後に残されているのだ。それなれば、ミイラのような醜骸を借りて日本へ戻って来た甲斐はあるというものだ。
「……死にはいたしませぬが、少々不始末があるのでございます」
「不始末とは」
「ああ、こんなところで立ち話はなりませぬ。さ、うちへおはいりになって……」
「待って下さい。わしにはひとりの連れがある。その方はわしの恩人です。わしをこうして無事にここまで送って来て下すった大恩人なんだ。その方をうちへお泊め申さねばならない」
母親はおどろいた。治明博士の呼ぶ声に、隆夫は闇の中から姿をあらわし、なつかしい母親の前に立った。
(ああ、いたわしい)
母親は、しばらく見ないうちに別人のようにやせ、頭髪には白いものが増していた。
「レザールさんとおっしゃる。日本語はお話しにならない。尊い聖者でいらっしゃる。しかしお礼をのべなさい。レザールさんは聖者だから、お前のまごころはお分りになるはずである」
母親はおそれ入って、その場にいくども頭をさげて、夫の危難を救ってくれたことを感謝した。