Japanische Klassiker mit Furigana
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あおバスのおんな
青バスの女
辰野 九紫
Lesen Sie 青バスの女 (あおバスのおんな) von 辰野 九紫 (たつのきゅうし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.918 Zeichen · 22 Bildschirme
とも称しているそうな。蓋し気に喰わぬことがあれば、事毎に憤慨する。かの「大菩薩峠」に於て怪奇なる役割を演ずる愛嬌者宇治山田の米友の如く、内心鬱勃たる憤懣を槍に托し、腕力に散ずることの出来ぬ僕は、文書を以てするのである。この憤慨たるや、決して私憤を意味しない。正しく一片の私情をも挟まざる公憤であると、僕は信じ、且つ、人、何が故に黙視するかを疑うものに対してのみ発するので、由って来る所亦久し矣。――
僕、十二三歳の頃、僕の家と隣家と共有の、約三十度の坂になった私道が、その奥に位するお寺への近道になっていた。然るに隣家の若主人が相続すると、先代の初七日も済まぬ間に、半分は俺のものだといって、お寺への通行人の迷惑をも顧みず、自分の持分だけを崩し始めた。急に財産を承けたので慢心したのだろうと、世人は嗤った。が、嗤って済まされないのが、子供ではあるが、僕だ。美濃紙一枚に、学校のお清書の如く「公徳を重んぜよ」と大書して、夜になってその切取工事をしている所へ、四隅に重石をして拡げて置いたものである。然し不幸な努力であったことには、隣家の若主人はじめ、土工も近所の人々も、公徳という意味がわからなかったらしい。