Japanische Klassiker mit Furigana
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ひめいよきょうじゅのべん
非名誉教授の弁
和辻 哲郎
Lesen Sie 非名誉教授の弁 (ひめいよきょうじゅのべん) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.519 Zeichen · 11 Bildschirme
わたくしは東京大学の名誉教授ではない。というよりも、わたくしには東京大学の名誉教授となる資格はないのである。しかるに近ごろわたくしは時々東京大学の名誉教授と間違えられる。間違えられたところで、それによってわたくしが何か利益を得るわけでもなければ、また間違えた人がそれによって何か損をするわけでもないのであるから、そんなことはどうでもよいことなのであるが、しかし事実と相違していることはちょっと気持ちの悪いものであるし、また人によると和辻はおのれの価しない「名誉」を不当に享受していると考えないものでもない。そういう誤解を受ければ、わたくしは名誉教授と間違えられることによって「名誉」を不当に享受するどころか、逆に不当な「不名誉」をうけることになる。暑さで仕事のできないのを幸いに、名誉教授にあらざるの弁を弄するゆえんである。
まず初めに、なぜわたくしが名誉教授と間違えられるに至ったかを考えてみると、一般の世間のみでなく、大学と密接な関係を有する方面でも、大学の名誉教授がどういうものであるかをいっこう知らないように思われる。わたくしが最初名誉教授と間違えられたのは、昭和二十四年の三月に東京大学を定年で退職してから二月目か三月目のころである。