Japanische Klassiker mit Furigana
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ひじょうのあい
非情の愛
豊島 与志雄
Lesen Sie 非情の愛 (ひじょうのあい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.831 Zeichen · 24 Bildschirme
「また来おったな。退散を命じたに、また来おったな。そこ動かずに、望みあらばいえ、何なりと言え。」
美春は無言で伏していた。
「不埓な。再び来ることならぬ。退散せよ。」
美春はぐったりと畳に伏したきりであった。
神子は如意を引いて、元の風に戻り、読経を続けた。美春は静かに身を起して、合掌の姿勢に戻った。読経の声はひとしきり高くなった。
そのまま時がたって、やがて、読経が突然にやんだ。神子はしばし黙祷して、それから徐ろに向き返り、軽く会釈した。美春と老人とは頭を畳までさげた。秦と千枝子も礼をした。
神子はもう無表情な顔に返っていた。何事も起らなかったかのように、無言のまま香を焚き、少しく座をしざって、それからハンカチで額を拭いた。汗を出してるようだった。
童女が立ってゆき、彼女と共に、西浦夫妻がつつましくはいってきた。そして一同は席を近づけた。美春は眼を開く力もなさそうに閉じがちで、息もひそめてるかのようだった。そして待ち構えていたかのように、茶菓が出された。その一座の乱れの隙に、秦は辞し去った。
「五郎」の二階に戻ってきた秦は、なにか深く考えこんでいた。