Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.494 Zeichen · 26 Bildschirme
お神楽はお神楽でも、出雲舞の乙姫様のほう。じつにどうも見事なもンだと思って、それで、さっきからつくづくと拝見していたのさ」
と、れいによってわかったようなわからないようなことを言う。腰元は、ツンと拗ねたようすで、
「あら、あんなことを。……はい、たんとおなぶり遊ばしまし。そんなことばかりおっしゃるのでしたら、あたしはもうあちらへまいります」
と、身体をくねらせる。顎十郎は、おっとっと、と手でとめて、
「行かれてしまっては困る。……じつは、……その、お手紙のおもむきでは、なにか、さまざま御用意があるとのことだったが、こんなところにぽつねんとしているのもおかげがねえ。そちらの段取りがよかったら、そろそろここへ運びだしてもらいましょう」
腰元は、しとやかにうなずいて、
「はい、それは心得ておりますが、殿様のお申しつけでは、なんなりと思召しをおうかがい申せということでございましたから、それで、只今まで差しひかえておりました」
顎十郎は、ほほう、と驚いて、
「お書状にも、だいたいそのおもむきがあったが、よもや、そこまでとは思っていなかった。では、なんですか、思召しをのべ立てると、なにによらず、ここにずらッとならぶ仕組になっているというんですか。