Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme
……蜜柑にしるしでもついていますか」
「これは、河内で出来る『八代』という変り蜜柑で、鍛冶屋や鋳物師の二階の窓から往来へほおる安蜜柑じゃねえ。……ご親類の松平河内守から八日祭のおつかいものに届いたものに相違ない。……それを、お前がチョロリとちょろまかして来た。……どうだ、お見とおしだろう」
三平は恐れ入って、
「まったくのその通りなんで……。さっきお雑蔵の前をとおると、入口の戸があいていてトバ口に蜜柑の籠がつんだしてある。……いい色ですから、先生にお目にかけようと思って……」
「つかみ出して、早いとこ、臍のあたりへ五つ六つ落しこんだ……」
「えッ、臍……どうして、そんなことまで」
「蜜柑の肌に褌のあとがついている」
「じょ、冗談……」
顎十郎は、ゆっくり蜜柑をむきながら、
「だいぶ、ひっそりしているな、みな、出はらったか」
「さきほどお城からお下りになりますと、すぐお伴をそろえて神田橋の勘定屋敷へお出かけになりましたんで……」
「この月は、佐渡守はお勝手方の月番じゃなかったはずだが」
「へえ、そうなんで。……あッしどもは、くわしいことは知りませんが、なにか、金座にどえらい間違いがあったんだそうで……」