Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.028 Zeichen · 28 Bildschirme
いってえ、どうしてぬけ出したのだろう。……ちょっと頭をひねると、すぐわかった。実にどうも、わけのねえことなのだ。……ゆうべは御影供の当日で、ほうぼうの寺に御開帳があったから、ちょうどあの刻限には、外糀町口のあたりは、ご代参がえりの女乗物でごったがえしたはず。御正門ちかくで紀州様の行列を追いぬきながら、十三の乗物を自分らの行列にくりこむくらいのことは雑作もない」
朝太郎は感にたえたように膝をうって、
「なるほど。そう聞きゃア、こりゃアわけもねえ」
「那智衆をご所望になっていた、いずれかのお家中が、かねてこの日をめあてにし、あらかじめ紀州さまの陸尺と手はずをしてあったのだ。……間もなく千太がやって来るが、あの刻限に赤坂青山の木戸を通った家中が知れると、神隠しのぬしは、雑作もなくわかる」
ちょうど、そこへ千太がやって来た。草相撲の前頭のような恰幅のいいからだをゆすりながら近づいて来て、この場のようすを眺めて、
「うわア、こりゃア、どえれえことをやらかしたもんですねえ」
藤波はうなずいて、
「なんではあれ、紀州様のご定紋のついたお乗物をたたっこわすなんてえのは、すこし無茶すぎる。