Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.832 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

「……松の下枝がだいぶ悪くなったから、蛤汁をかけろという大旦那のおいいつけなんで、へえ」

「おお、そうか、そんな話をきいておった。……初午だというのによく精が出るの」

「へッへ、おほめで痛みいりやす」

「陽気に向うと蛤汁は臭ってかなわんな。……まま、よかろ、関わんから始めてくれ。ついでに下枝もすこしおろして貰おうか。俺がここで見ていて指図をしてやる」

「へえ、お頼み申しやす」

「ああ、それはそうと、万年青がひとつ弱ったんだが、ついでに見てやってくれ」

ゆっくり顎を振りむけて植木棚を差し、

「その中にある」

職人は植木棚を見廻していたが、すぐ錦明宝を見つけ出し、

「こりゃあ、えれえことになっている……バラ斑が出来ていやすね。……すぐ手当をしねえじゃ、玉なしにしてしまう」

「厄介なやつだの」

「それが楽しみだというおひともありやす」

「ははは、ちげえねえ、どうせ、金と暇のあるやつのお道楽……俺のような権八には用のねえものさ。……まあ、思うようにやって見てくれ」

「こうと知ったら道具を持って来るんでした」

「なにかほしいものがあるのか」

「へえ、……霧噴きお借り申してえので」

「霧噴きか……納屋にあったな、持って来てやろう」