Japanische Klassiker mit Furigana
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かぜ
風
壺井 栄
Lesen Sie 風 (かぜ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.702 Zeichen · 78 Bildschirme
ガスも水道もなかった。そこへ移って、最初の外出は文芸講演会だった。新しい家で目の先の気分もかわり、何かいいことがありそうな期待で茂緒は修造と一しょに出かけた。うきうきしていた。講演者の中にはHやNやOや、プロ派のアナ系詩人が多く、修造や扶佐子の名も出ていた。修造と一しょにこうしたところへ一しょにゆくのは二度目だった。はじめのは結婚したばかりのときのことで、それは三科の展覧会だった。田舎ものの茂緒も、二科は知っていたが、三科というのは初耳だった。そしてどぎもをぬかれた。妙な線が交錯した中に目が一つあったり、女の首がころがっているわきに、ほんとうの髪の毛が無気味にぶらさがっている画面は、どうしてもそれが絵とは受けとれず、美も感じられなかった。HやNの詩集にしろ、「死刑宣言」だの、「三角型の太陽」だのと、そのどぎつさや異常さは門外漢の茂緒に無気味さより感じさせなかった。修造にしろ、「頭の中の兵士」という茂緒にとってわけの分らぬ詩があった。若い詩人たちは、よるとさわると気焔をあげていた。うちで静かな修造さえ、あるときの講演会ではHの詩の朗読に応じて叫喚しながら、観客席から演壇に走りあがったという。