Japanische Klassiker mit Furigana
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しょくよく
食慾
豊島 与志雄
Lesen Sie 食慾 (しょくよく) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.672 Zeichen · 20 Bildschirme
時によると、女のなまじっかな理解などは、却って男の仕事を害することさえある。充分に愛を持っていない者だけが、いろいろ愛について理屈をこねるんだ。」そんなことを以前野口が申しました時、私はひどく淋しい気がしましたけれど、やはり、それが本当ではないかと思うようになってきました。愛しないのは愛が足りないのだ、それに違いはありません。とは云え、愛を邪魔する何かがあるような場合があることも、事実です。
外を歩くのが私の身体によいというので、私達は時々あちらこちらへ出かけました。軽井沢方面は前年の夏に知りつくしていましたので、浅間山を中心に、押出岩の方面や追分の方面へ出かけました。けれど私は余り気が進みませんでした。外を歩いていますと、野口と私との間に共通の話題の少いのが、殊に目立ってきました。景色のことなどは、そういつまでも話せるわけのものではありません。そして私は淋しい気持で帰ってくるのでした。
そういうことに反抗したい気持も、私の心の奥にあったかも知れません。或る日、木村さんをお誘いして、六里ヶ原へ出かけました時、私はひどく快活な様子になりました。小浅間の肩の峯の茶屋まで自動車で行き、それから歩いて分去の茶屋まで行き、そこで街道をすてて左にはいると、もうすぐに、なだらかな斜面の六里ヶ原です。