Japanische Klassiker mit Furigana
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がいこつのくろんぼ
骸骨の黒穂
夢野 久作
Lesen Sie 骸骨の黒穂 (がいこつのくろんぼ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.160 Zeichen · 28 Bildschirme
これも藤六老爺の一つの癖といえば云えたかも知れないが、しかし近所の人々は、そうは思わなかった。やはり仏性の藤六が、閑暇さえあればソンナ善根をしているものと思って誰も怪しむ者なんか居なかった。
とにもかくにもこの藤六老爺が居るお蔭で、直方には乞食が絶えないという評判であったが、実際、色々な乞食が入代り立代り一パイ屋の門口に立った。「あの乞食酒屋で一パイ」とか「乞食藤六の酒は量りが良え」とか云われる位であった。
その名物老爺の藤六が昨年……明治十九年の暮の十一日にポックリと死んだ。
炭団を埋めた小火鉢の蔭に、昨夜喰ったものを吐き散らして、夜具の襟を掴んだまま、敷布団から乗出して冷めたくなっているのが、老爺の心安い巡回の巡査に発見されたので、色々と死因が調べられたが別に怪しい点は一つも無かった。
ただ一つ、盗まれたものはないかと家中を調べているうちに、押入の隅に祭ってある仏壇らしいものに線香も何も上げてない。その代りに白紙に包んだ麦の黒穂の、枯れたのが、幾束も幾束も上げてあるのが皆を不思議がらせた。それからその仏壇の奥の赤い金襴の帷帳を引き開いてみると、茶褐色に古ぼけた人間の頭蓋骨が一個出て来たので皆……ワア……と云って後退りした。