Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
町人の娘とは生れたが、今は縁あって神尾家の奥様だ。美人は多く玩弄用で、内容のお粗末なのが通り相場になっていると聞くが、その園絵、花も果もあるほんとうの美人で、美人とは美しい人と書く。人は、形の美よりも心の美である。形の美は皮一枚、心の美は千載を貫く。女権拡張も友愛結婚も時世とやらの産物で大いに結構だが、園絵は、眉を描いたり頬を彩色したり、ビックリ箱から今飛び出たような面をして、チャールストンとか何とか称し、大根脚で床を蹴ったりなんか妙竹林な芸当は知らなかっただけに古くさいかも知らないけれど、考えることがシッカリしている。
夫婦の情愛に新古はないはず。
短くして破られた二ツ枕の夢――夫恋う鹿の細ぼそと鳴くにも似て、園絵が、こう毎日くり返す想いを、また、胸のうちに燃やしながら、
「もう上りましょう」
交る代る足を上げて、鷺のような恰好、紅珊瑚の爪さきを無心に拭いていると、
「オャ……!」
つと窓へ眼の行ったかの女の口から、絞るような、驚愕の声が……。
二
無理もない。
高い櫺子窓である。そこへ人の顔が現われたのだ。イヤ、正確には、現れたような気がしたのだ。