Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
その、灯を背負って赤い障子に貼られた忌中の文字は、大きな達筆である。嘲笑うように、また揶揄するごとく、くっきり浮き上っているのが、まことに凶事そのもののように、不気味に見える。
障子をあけてはいる。そんなどころではない。室内にいるかも知れないのだ。この戸ひとつがくろがねの――容易に開けられる障子ではない。頼母は、衆議をぬけて自身ここまで取りに来た、その品物が何であったかさえケロリ忘れて、退くも進むもならない。茫然自失の態……気がつくと、シインと全身に汗を掻いていた。
「何やつのしわざ?――何やつとは、勿論、きゃつのしわざに決っておるが、この厳戒の当屋敷へ、しかもこの集会の最中、一体どこから忍び込んで、そして今は、そもどこに隠れているのであろう――?」
これが、混濁した頼母のあたまへ、最初に来た質問の一つだ。同時にかれは、反対側の雨戸へ、張りつくように身を引いて、じイッ、聞き耳を立てながら、長い廊下の左右へ眼を配った。
遠く会議の席からかすかに、人声が伝わって来るだけ、何の変異もなく、静まり返っている。部屋の中から射す灯で、そこらは茫ッと明るく、廊下の先は、夏の夜ながらうそ寒い半暗に沈んでいるのだ。