Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
頼母は、呪いに縛られたよう……いっぱいにひらいた眼に障子の忌中札を白眼んで、まだ身うごきも出来ずにいる。
長岡頼母――三十五、六の男盛り。背の高い、肩の張った、堂々たる人物である。苦味走った、白眼みのきく顔をしていて、番士中でも口利き役の、指折りの一人だった。宝蔵院流の槍の名誉……名誉というほどではないが、それでも、毎朝槍捌きの稽古には、たんぽの先で、若党の二、三人は突きのめそうという、それだけの心得はあったもので、刀は無念流、このほうだって、試合に出たと思うと、参ったッ! で引っ込み組ではなく、その日の出来によっては大いに暴れることもある。まず、一かどの武士だった。
いま、この忌中札を凝視めて放心立っている頼母の網膜に、あの、元旦の殿中の騒ぎが浮び上って来た。
この自分も、あの喬之助いじめに、確かに一役受け持ったのだ。
大目附近藤相模守が、咳払いと共に下城したあと、ちょっと森閑としている時だった。
御書院番衆は、やれやれと寛ぎ出して、急にそこここに話声も起り、中断されていた喬之助いじめをまたはじめようとそっちのほうを見ると、もう皆頭を上げているのに、喬之助だけは、まだ平蜘蛛のように、畳に手をついている。