Japanische Klassiker mit Furigana
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まと
魔都
久生 十蘭
Lesen Sie 魔都 (まと) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 293.999 Zeichen · 578 Bildschirme
陶酔といおうか戦慄といおうか、或はまた法悦といおうか、一種名状し難い酩酊状態が、さなきだに朦朧たる加十の大脳を麻痺させ、しんじつ夢に夢見る心持。一向取り止めなくなって、あっけらかんと口を開いていたのである。
その口の中へ颯と吹き込んだ夜嵐に、ようよう我に返り、改めてつくづくと思い返せば、実にもう驚天動地の大スクープがつい目と鼻の先にたぐまっていることを自覚せざるを得ぬ。
皇帝の模造品まで作って、警視庁が捜査に狂奔している、当の目的物、高貴なる被捜索人は、ついこの目の下にいる。
安南皇帝は噴水の鶴の下にいる!
二十九年の半生を通じて、今日今夜くらい激しい衝撃を受けたことはなかった。目を廻して引っくり返らなんだのが不思議なくらい、事実は小説より奇だというが、まるで童話の世界にいるようで、どうも事実と思われぬが、皇帝が目の下の鶴の噴水にいるということは、どうも紛れのない事実だと思われる。
秀陳の一言を聞くと、卒然たるインスピレーションが稲妻のように加十の脳底に差し込み、あらゆる秘密の全貌と諸関係が明白な光の下に曝けだされてしまったのである。
泣く筈のない青銅の鶴が鳴いた天変不可思議も、安亀が「唄う鶴の噴水」