Japanische Klassiker mit Furigana
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りぎょ
鯉魚
岡本 かの子
Lesen Sie 鯉魚 (りぎょ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.795 Zeichen · 12 Bildschirme
寺で断られるのは知れ切ったこと。しかたなく昭青年は言いました。
「まあ、生きておいでなさい。どうにかなりましょう。食事は私が粗末ながら運んで来ますから、しばらくこの辺のどこかに忍んでおいでなさい。人に見付からぬように」
昭青年だとて、先にあてがあるわけではありませんが、差当って今の取り做し方としては、これ以外に無かったのでした。あたりを見廻すと、幸い、苫で四方を包んだ船がある。将軍が大堰川へ船遊びの際、伴船に使う屋根船で、めったに人の手に触れません。昭青年は苫を破り分けて早百合姫をその中へ入るよう促しました。
姫はさほど有難いとも思わぬ様子でしたが、それでも嫌とは言わず、船の中へ隠れました。そして言いました。
「淋しいから食事の時以外にもなるたけ、ちょいちょい訪ねて来て下さいましね」
二
寺の人達の間にこんな噂が出るようになりました。
「どうもこの頃、昭沙弥は、生飯をやると言っちゃ日に五六遍も、そわそわ川へ行く。あんまり鯉に馴染がつき過ぎて鯉に魅せられたのではないか」
「その癖、淵の鯉は、斎の鐘を聴いてもこの頃は集って来んようだ。わしは気を付けて行って見るが確かにそうだ」