Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りぎょ

鯉魚

岡本 かの子

Lesen Sie 鯉魚 (りぎょ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.795 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

「それは変だな」「変だ」「変だ」と噂し合うようになりました。それはそのはずです。せっかくの生飯も、昭青年は苫船の中の美しい姫にやってしまうので、淵の鯉は、いつも待ち呆けです。しまいには諦めて鯉達は斎の鐘に集らなくなりました。噂が耳に入るほど余計に昭青年は用心します。隙を覗い折を見ては苫船へ通います。その度に自分が貰った菓子、果物など、食べた振りをして袖に忍ばせ、姫にそっと持って行ってやります。そうこうするうち日も移って、梅雨もすっかり明けた真夏の頃となりました。

片方は十八の青年、片方は十七の乙女。二人は外界をみな敵にして秘密の中で出会うのです。自然と恋が芽生えて来たのも当然です。

姫はもう何もかも考えなくなって、ひたすら昭青年の来るのを待ち侘びている。自分では、ただ頼みにする人、有難い人と思っている積りだが、心の底ではもう恋が成熟しきっている。その証拠には、われ知らず、男の心を試すような我儘を言い出すようにもなりました。

一方、昭青年は早く機会を見付けて何とか始末をしなくては、悟道の妨げにもなるし、姫のためにもよくない。刻々、そう思いながら、その気持ちに自分で自分に言いわけを拵えて、ずるずる現状のままを持ち続けています。