Japanische Klassiker mit Furigana
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りぎょ
鯉魚
岡本 かの子
Lesen Sie 鯉魚 (りぎょ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.795 Zeichen · 12 Bildschirme
時には自分で腑甲斐無いと思えば思うほど「ええ、何もかもおしまいだ、姫と駆落でもしてしまおう」こんな反動的な情火がむらむらと起るので、自分ながら危なくて仕様がありません。これはいっそ、そっとこのままにしておいて時の捌きを待つよりしかたがないと、思い諦めて、楽しいようなはかないような逢瀬を続けています。
昼過ぎ、昭青年は姫に生飯を持って行って食べさせたあと、二人は川へ向いた苫を少し掻き分けて、対岸の景色を眺めていました。蝉時雨は、一しきり盛りになって山の翠も揺るるかと思われる喧ましさ、その上、あいにくと風がはたと途絶えてしまったので周囲を密閉した苫船の暑さは蒸されるようです。姫は汗を袂で拭いながら言いました。
「あたくし、久しく行水しないから、この綺麗な水へ入って汗を流したいのよ。あたりに誰もいませんから、あなたも一緒に入って腕に掴らしといて下さらない、怖いから」
これは難題です。蘆の葉のそよぎにも息を殺す二人の身の上に取って、このくらい冒険はありません。見付かったら最後、二人はどんな運命になるか判らない。昭青年は戦慄を覚えながら押し止めました。
「馬鹿をおっしゃい。