Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
ましてや、その何者であるをや。
こっちで口をとじていると、一方も果てしなく黙りぬいていた。ただその間、鋭い神経だけが、眸とともに互に相手を探りあっている。
何者だろう? 単なる通りかかりの者とも思えず、物盗りの浪人らしい挙動もない。といって、立ち去る様子もなし、あくまで黙りこくッて、威圧するように、こッちを凝視している七、八人の侍。害意はないまでも、なんらかの敵意は持っているらしく考えられる。
勘のいい万吉も、炯眼なる一八郎も、さらに見当がつかなかった。せめて、対手の風貌でも見ればだが、まったく漆壺のような天地――時折の稲妻は、ただ、そこに立った侍のどれもが、一様に覆面しているらしいのを、チラと見せたにすぎないのである。
「妙な奴らだ、大刀でも抜いてみやがれ、こっちから先にグワンと一つ食らわしてやるから」
万吉は、手の裏に十手を隠して、しばらく息を殺していたが、かくべつ、抜いてくる気色はなく、依然として、すくみあいだ。そのうちに万吉は、ばからしくもなるし、神経も疲れぎみになって、フイと気をそらしてみた。
「旦那……」
小声にささやいて、一八郎の袖へ合図をしながら、