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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「雨にでもなると困りまさあ、腹へ底が入ったところで、ぼつぼつ麓へ下りましょうぜ」

火を焚いていた言い訳にこういって、万吉は、スタスタ先へ歩きだした。と、一八郎も、いい機にしてついてくる――が、まだ。

「後から、追いかけてくるかな? ……」と、予想していたが、七人の侍、追ってくる様子もなく、また、待て! と浴びせてくる声もない。

「なんでえ! つまらねえ気を揉んでしまった」

下り坂へ来てから、急に足を軽くして、万吉の声がふだんの通りになってきた。

「わっしはまた、旦那が密書を読んでるのや、阿波の噂をしていたのを、あいつらが聞き咎めたのかと思って、すッかり胆を冷やしてしまいましたよ」

「拙者も一時はぎょッといたした。しかし、考えてみれば、こんな所へ、蜂須賀家の侍が立ち廻っている筈はないからのう」

一八郎も今になって苦笑を禁じられなかった。

「ですが、一体あいつらは何でしょう」

「どうやら覆面していたらしい」

「それが合点がいかねえんです。言葉を交わせば、侍ってやつあ、きっとお国訛りがありますから、どこの家来か、浪人かぐらいは、すぐに察しがつくんだが、ああ黙っていちゃ判断がつかねえ……おや、道が二筋に別れていますね」