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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

お綱は、当惑してしまった。

無理はない、無理はない! この子たちには、酒飲みで無理解で乱暴な男親はあるが、貧しい中にも、稚い心を温めてくれる女親の肌がない。――吉原裏のおはぐろ溝、黒い泡がブツブツと立つ、あの濁り水のような裏店で、情けも仮借もなく育てられては、こんな姉でも、こうまで強く慕う気になるのであろう。

そうも思うし――お綱はまた一方には、ここで、弦之丞にすげなく別れてしまうのが、一時にせよ、何としても辛かった。それは、幼い二人がたまたま巡り会った姉に別れるより、お綱にとっては、なおさらせつなく感じられる。

法月弦之丞は、わざと少し道ばたへ身を避けて、何かしきりと、万吉がささやくのを聞いていたが、

「お綱とやら――不愍ではないか」

「は、はい……」

「およその事情は万吉から聞いたが、そちを慕うて離れぬのは無理ではない。拙者も万吉も、どの道しばらくは一月寺の宿院に滞在することになろうから、とにかく妹弟どもを送り届けて、明日なり、また四、五日おいてなり後に、改めて一月寺へ尋ねてまいるがよい」

「そうだ!」万吉も口を合せて、

「そうしねえそうしねえ。なんぼなんでもお前、あれほどまでにすがる者を、蛇か鬼じゃあるめえし、振りもぎッて行かれるものか。