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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

弦之丞様がおっしゃる通り、その子たちを送り届けて、家の様子も見てきた上に、後から訪ねておいでなさい。――え、大丈夫だよお綱さん、その間に、弦之丞様が消えてなくなる気づかいはねえから――」

お綱はそこで、弦之丞と万吉に別れた。がんぜない妹弟たちを得心させた上、後からきっと一月寺へお訪ねします――と固く誓って。

お獅子のお三輪と乙吉は、すッかり元気がよくなった。嬉々として、お綱の後になり先になりして目まぐるしくじゃれ歩く。

「姉ちゃん」

「あいよ」

「姉ちゃん」

「なんだい」

「なんでもないの」

無上に嬉しくってたまらない。

用もないのに呼んでばかりいた。そして、あたいの姉ちゃんなる人の顔を見ては、ニッコリ笑って寄り添った。お綱もニッコリ笑ってやる。求め難い男に執着し、求めがたい恋に苦しみあえぐより、無邪気な目下に喜ばれるって、なんていいものだろう。けれど人は、淡いものには飽きたらないで血みどろな恋の修羅場を選んでゆく。なぜだかお綱にも分らない。お綱もやっぱりそうだから。

「姉ちゃん」

「ええ」

「なぜ姉ちゃんは家にいないの」

お三輪にきかれて、お綱はギクリと言いつまった。