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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

と、にわかに声を低めて、ソッとあたりを見廻しながら、上がり框から身を延ばした。

「目安箱の御上書やら、左京之介様のお計らいで、弦之丞様へ、ごく密々なお墨付が下ったのだ、早くいえば将軍家のお声がかり――、阿波の間者牢にいる世阿弥に会い、蜂須賀家の陰謀をあばく一ツの証拠を聞き取ってまいれ――という御内命であったそうな」

「では、とうとうそのことが、将軍様のお指図とまでなって?」

「公儀で表沙汰となさるには、まだ拠り所が充分でない。といって、これから大がかりに、所司代やお目付が手を廻せば、向うで気取ってしまうから、この探索は弦之丞様一人がいいという御方針になったらしい。そこで弦之丞様が、首尾よく甲賀世阿弥に会って、何ぞ、蜂須賀家の急所を押すような証拠をつかんでおいでになれば、即座に、阿波二十五万石はお取潰しとくる段取になっている。無論そうなれば、あのお方一代の誉れ、甲賀の家にもふたたび花が咲こうし、十年以上も暗闇の手探りをしていた天満組の俺たちも、さすがに目が利いていたといわれるだろう――。けれど俺は不服だった」

包みきれぬ昂奮に、いつか調子を張っている自分の声に気がついて、万吉は、ここでちょっと言葉をきった。