Japanische Klassiker mit Furigana
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めいせつじじょでん
鳴雪自叙伝
内藤 鳴雪
Lesen Sie 鳴雪自叙伝 (めいせつじじょでん) von 内藤 鳴雪 (ないとうめいせつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.693 Zeichen · 377 Bildschirme
春日の家とは遠縁であった。従って山本とも知合いであった。まだうちへ嫁して来ないその前年の冬に、私は祖母に伴われて山本の家に行き、もう間もなく母になるべき人に逢った事を覚えている。子供心にも珍らしい改った気がした。
この冬、十二月二十四日愛宕の市へ、私のうちの下部は正月の買物に行った。年の市は所々の宮寺にあったが、愛宕の年の市は芝辺では最も盛んで、藩邸の者もこの市で正月の物を調えたもので、うちの下部もその晩新しい手桶や注連飾などを買って帰った。父はすぐその手桶に嘉永四年云々と書き認めていた。その時俄に邸内が騒がしくなって、火の見櫓で鐘と板木とあえ交ぜに叩き出した。この火の見櫓はどこの屋敷にもあったもので、火事があると係の者がそれへ上って方角を見定め、高声にその方角を知らせ、そして板木を叩いた。鎮火すると鐘を鳴らした。最も近火で、藩邸も危いという時には鐘と板木とあえ交ぜに打つことになっていた。その非常の音を聞いたので、家の者悉く騒立って見ると、我が邸内の君侯の厩から火が出たのである。今も地形が存しているが、私の家は君侯の住居の近くの高台でその厩は表長屋に近い低い方であったから、私も下女に負われてその火事を見た。