Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

もう誰か拾ったろうと残念がりました。半円札でしたか、一円札ですか。なぜ銭入に入れて行かなかったろう、せめて袂にでも入れて行けばよいのにと、祖母が呟きました。

買物は池の端へ出て、仲町へ廻ってするのです。その仲町へ曲る辺に大きな玉子屋があって、そこの品がよいというので、いつも買います。買って帰って、そんな話をしているところへ次兄が顔を出して、「あの店では怪しい玉子はきっと皆煎餅にするのでしょう」といったので、祖母は嫌な顔をなさいました。その店の玉子煎餅も名代で、いつも買ってありました。

そこから広小路へ出るところに、十三屋という櫛屋があって、往来端に櫛の絵を画いた、低くて四角な行灯が出してありました。祖母が切髪を撫附けるのに、鼠歯という、ごく歯の細かい櫛を使うので、それがあるかと聞きましたが、ありませんかった。黄楊の木で造った品ばかりを商う、暗くて古風な店でした。

広小路へ出て右へ曲った右側に、千住の軽焼屋の店が出来たので、ついでに見に行きました。店にいた女の人は、同級生のお友達によく似ていましたから、姉さんか、それでなければおばさんだったでしょう。