Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
兄なども母の晩年には、出這入りの度に、廊下づたいに部屋の傍まで来て声を懸けますので、母はどんなにそれを喜んでおりましたか。年寄の気持は、皆同じことでしょう。
上総の日在に賀古氏の別荘が出来た時、兄もその隣の松山に造りました。その二つに鶴荘、鴎荘の名を附けて、額を中村不折に書いてもらったのですが、賀古氏の方は簡単でも門がありますから、すぐ掛けられましたけれども、森の方には何もないので、いつまでも座敷の隅に置いたままになっていました。後になって入口の格子の上に掛けたとか聞きました。日在へは兄はあまり行きませんでしたが、賀古氏は晩年よく行っていられました。
今思出してもおかしいことがあります。病院を経営なさる御都合上、幾らか相場にも関係なさったらしく、或時好条件の株があるが買ったらと、頻りにお勧めになるので、金子をお預けしたのだそうです。ところがそれが全く思惑違いとなったので、いつものさっぱりした気性にも似ず、ひどくそれを苦になすって、こちらでは忘れた頃になっても、まだ済まなかった、済まなかったとおっしゃる、と母が笑っておりました。
大正十一年兄の終る時には、よく団子坂へ来ていられました。