Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

衛生学

私と兄鴎外とは年が十ばかり違いますから、物心のついたころは十五、六でしたろう。もう寄宿舍に入っていられました。西氏のお世話になられたのはその前です。私の記憶には何もありません。母や祖母がお国の話をする時に、梁田、水津、大野などの姓を聞くと、西氏の御親戚だと思う位でした。後に私は祖母に連れられて、西氏の三十間堀のお家へ泊りに行きました。夫人(石川氏)は佐佐木信綱氏の歌のお弟子でした。

西氏が前に家塾育英舍を開かれた時の通規に、「読書はなるたけ黙読せよ。昼日は時ありて朗読すとも可なり。唯隣座の凝念思索の妨をなすことを得ず」「人の傘笠を戴き、人の履物をはくことを許さず。紙筆、硯机、煙管、巾櫛の類より、炉中の火、硯池の水に至るまで、その主の許可あるに非ずして使用することを許さず」など、事細かなもので、門人ではなくとも置いて戴いて、外に人もいられたのでしょうから、若いお兄様には窮屈だったろうと思います。

次兄は十一、二歳の頃、漢学を習いに、因州の儒者佐善元立という人の所へ通っておりました。出来がよいと直に特別扱にされます。或日塾の祝日に本邸から藩主代理として来られた川田佐久馬氏が、次兄の態度が気に入ったとて話を進め、佐善氏の仲介で川田氏の養子にきまりました。