Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
こちら側をまいりましょう。」
そういって、お供をして帰りましたが、家に著きましても、あまり口を利かれません。それでも家の人たちは安心して、「きっとお酒が過ぎたのでしょう」と思っていました。
その翌日、祖父は祖母に話されました。
「ゆうべ先方を出ると、人通りのない道を、笠を被った小僧が素足でぴちゃぴちゃ附いて来るので、傘の中へ入れてやったが、足許に絡みついて歩きにくいことといったら少しも道がはかどらぬ。連はないのか、どっちへ帰るのか、と聞いても返事をせぬ。顔を見ようとしても、小さな笠で分らない。やっと川の辺へ来たら、『こっち、こっち』と袖を引いて、橋の方へ行く。橋は雨で一面に濡れている。高下駄で辷りそうだし、橋板の落ちている所もある。桁の上を拾って歩くと、またしても足許に小僧が絡む。そんなことでどれだけ時間が立ったか、汗びっしょりになった時に和助が来てくれたのだ。」
これを聞いた祖母は、目を円くしていいました。
「それはきっと狸でしょう。あの辺には狸が出るように聞きました。」
「何だか知らぬが、誰にもいわぬように。」
口止めをされたので、祖母は誰にも話しませんかったが、母だけは知っていました。