Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

茶器は昔から古物を尊び、由緒ある品などは莫大な価額のように聞きましたのに、氏は新品で低廉の器具ばかりを揃えて、庵の名もそれに因んで半円とか附けられたとかいうことでした。きっとそれが気に入って、お贈りする気になったのでしょう。

お兄様はそれを持って出て、庭にいられたお父様に声を懸けられました。

「お父様、これをいただいて行きますよ。」

「あゝあゝ、持ってお出なさい。」

盆栽に見入って、振返りもなさいません。お父様は石州流のお茶をよくなさるけれど、書画には一向趣味をお持にならないのでした。

お兄様は何と思われたのか、勤めへお出かけに、「今度石黒さんへ行く時、お前も連れて行こうね」とおっしゃいました。そうしたら暫くしてから、ほんとに連れて行かれました。

お河童頭に繻子の袴、目ばかり光らした可愛げもない子供でした。お兄様のお供をするというのが嬉しくて、喜び勇んで出かけたのです。牛込のお邸には黒くて厳めしい大きな御門がありました。昔の旗本のお屋敷のようです。お座敷へ通っても私はただ後の方に小さくなって、黙って坐っていました。家へ帰ってからお母様に、「薄暗い広いお座敷で、頭の禿げたお年寄が、幅のひどく狭い袴をはいて、芝居の下座でつけを打つ男のような恰好をしておられましたよ」