Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
と話しました。
芝居だって猿若座を一度か二度しか見ていないのですが、何だか様子が違って見えたのでしょう。
「まあこの子は。人様の噂をするものではありませんよ」と戒められました。
お兄様は、「黙っていると思ったら、そんな風に見ていたのか」とお笑いになりました。
その牛込の帰りには長瀬時衡氏のお宅へ寄りました。飯田町辺でしたろう。やはり陸軍の軍医をお勤めで、詩文のお嗜があり、お兄様とはお話が合うのでした。ここでは気安く種々のお話をなさるし、奥様も歌をおよみになるので、優しく話しかけて下すって、お庭の石灯籠に灯の入るまでゆっくりしておりました。後に奥様は短冊を書いて下さいました。赤十字をおよみになったので、
仇みかたたすけすくひて万代に
赤き心を見する文字かな
綺麗にお書きで、それは近年までありました。
石黒氏に贈った幅はどうなりましたろう。私を連れて行かれたのは、角立たないようにとのお心遣いだったかも知れません。その日には、それについてのお話はありませんでした。後にはお兄様も、石黒氏と立入ったお附合はなさらなくなったようです。
写真
向島に住んだ頃は、浅草へ行くというのが何よりの楽しみでしたけれど、歩いて行く時は、水戸様の前から吾妻橋を渡って、馬道を通って観音様の境内へ入るので、かなりの道なのです。