Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
あちこち見て歩く内、応接間というような室に、硝子の箱に紫色の天鵞絨を敷いて、根附が百ばかり、幾段かに並べてありました。その頃主人が根附を集めていたものですから、つい目に附いて、立止って見ていました。外人などは、さぞ珍しく思うでしょう。あたりに人がいなくなったので控室へ戻ると、夫人が独りでいられます。
「お広いようでございますね。唯今あちらに根附がございましたので、ゆっくり拝見しておりました。御主人様の御趣味でしょうか。」
「いいえ、あれはここの備品なのですよ。あなたはあんな物が好き。」
よい折と声を低くして、「兄がいつも御主人様のお世話になります。正直過ぎる人なので、いっこくですから、さぞ失礼をも申すでございましょう。宜しくお取りなしを願います。」
「いいえ、いっこくといえば主人こそお話になりません。どなたにでも無遠慮にずけずけと物をいいまして、端の者がはらはらいたします。奥様はお若いのですッてね。」
そうおっしゃったので、「はい、美しい好い方ですけれど、お育ちになった御家庭がわれわれと違いますから……。」
「そうですってね。皆さんからちょいちょいお噂を聞きますよ。