Japanische Klassiker mit Furigana
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しぎつき
鴫つき
寺田 寅彦
Lesen Sie 鴫つき (しぎつき) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.978 Zeichen · 4 Bildschirme
要太郎が手を上げたから余等は立止って道にしゃがんだ。久万川の土手に沿うた一丸の二番稲があってその中に鴫が居ると見える。網を斜めに下向けてしきりにねらっている。自分等も息を殺して見ているとたちまち頭の上でばさ/\と音がする。蜻が傘にとまっていたのが外のとんぼと喰い合って小溝へ落ちそうにしてぷいと別れた。溝からの太陽の反射で顔がほてるような。要太郎はやはりねらいながら田を廻っている。どうも鴫は居ぬらしい。後の方でダーダーと云う者があるからふりかえると、五、六間後の畔道の分れた処の石橋の上に馬が立っている。その後についているのは十五、六の色の黒い白手拭を冠った女の子であった。馬はどっちへ行こうかと云う風で立止っていると、女の子は馬の腹をくぐって前へまわってまたダーダーと云いながら新屋敷の方へ引いて行った。鴫はやっぱり見えぬらしい。要太郎も少しだれ気味で網を高く上げて振るとバタ/\と一羽飛び出して堤を越して見えなくなった。要太郎の指をさす通りにグサ/\と下駄の踏み込む畔を伝って土手へ上ると、精の足元からまた一羽飛び出して高く舞い上がった。二、三度大廻りをして東の方へ下りた。