Japanische Klassiker mit Furigana
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しぎつき
鴫つき
寺田 寅彦
Lesen Sie 鴫つき (しぎつき) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.978 Zeichen · 4 Bildschirme
「何処へ下りましたぞのうし。」「アソコに木が二本あるネー。あの西の方に桑があるだろう。あの下あたりのようだ。」要太郎は黙って堤を下りて行った。堤には一面すすき野萩茨がしげって衣物にひっかかる。どう勘違いしたのか要太郎はとんでもない方へ進んでいる。声を掛けようかと思ったが鳥を驚かしてはならぬと思うて控えていると果然鴫は立った。要太郎は舌打ちをしたと云う風であったが此方を見て高く笑うた。そして二本並んだ木蔭へ足を投げ出して坐って吾等を招いた。「ドーダネ。マー一服やって縁起を直しては。巻煙草をやろか。」「ヤーありがとございます――。昨日は私の小さい網で六羽取りましたがのうし。」今に手並を見せると云う風で。
野菊が独り乱れている。「精ドーダ面白いか。」「あつい」と云いつつ藁帽をぬいで筒袖で額を撫でた。「サーそろそろ行きましょう。モット下へ行って見ましょ。」小津神社の裏から藪ふちを通って下へ下へと行く。ところどころ籾殻を箕であおっている。鶏は喜んであっちこちこぼれた米をひろっている。子供が小流で何か釣っている。「鮒か。」「ウン。」精の友達らしい。いつの間にか要太郎が見えなくなったと思うていると遥か向うの稲村の影から招いている。