Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たそがれ

黄昏

宮本 百合子

Lesen Sie 黄昏 (たそがれ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.500 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

「草臥(くたび)れただろうから、緩(ゆっ)くり休むといいわ。こちらはもういいから」

それに対しても、おくめはただ、黙って頭を下げた。そして、自分の部屋に入り、襖をしめ、出がけとは正反対ののろさで、ゆるみかけた帯を、畳の上に解き落した。片隅に小机を置き、袋戸棚のある四畳半はまるで、今までとは別なところのような心持がする。

「それにしても、何という思いがけないことを聞いたものだろう」

市ケ谷の、淋しい夜道でのぶ子と別れてから、おくめの心は、驚とも、感動とも名状し難い動揺で一杯になっていた。

自分が非難される位置にあった故か、のぶ子は、姉の前では、気になるほど、無口であった。

おくめが何か云っても、「ええ」とか、「そうですか」というような短い言葉で受け答えするばかりである。

けれども母親の口添えで、ともかく必要なだけの金は出して貰うことと定(きま)り、おくめが、

「それではもうそろそろ帰ろうかね」

と云って立上ると、のぶ子は、

「じゃあそこまで送って行ってあげますわ」

と云いながら自分も一緒に停留場までついて来た。

勤人風の家並の多い、宵の静かな往来を歩きながら、二人は、ぽつぽつと種々の話をした。