Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たそがれ

黄昏

宮本 百合子

Lesen Sie 黄昏 (たそがれ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.500 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

はっと思って、四辺を見廻し、大いそぎでしかけた仕事を切りあげる。――

ともかく昼もすませると、おくめは、息苦しくて、息苦しくて、到底家の中などに凝っとしてはいられない心持になって来た。

縫物をとりあげても手につかない。主婦と、世間話もしていられないほど気がせける。何をどうということはない。まるで、家中の空気が急に堅くひしひし四方から自分を緊めつけるようで、おくめは、おちおち瞳(ひとみ)を定めてもいられないように感じるのである。

彼女は到頭、外出の口実として買物を一つ思いつけた。新らしい寝具を一揃え新調した米子は、この間うちから、一つ夜具風呂敷を拵えようと云っていたのである。

おくめは、止めろと云われない用心に、ちゃんと着物まで換えてから、何気なく、

「奥様、お砂糖を買いかたがた、お風呂敷も買って来ようと思いますがいかがでしょう」

と、米子の前に出た。

「そうね、別にいそぐわけでもないけれども……」

「でも――ついでに買って置きませんと、なかなか縫えませんですから……」

決してこれは理由(わけ)のない申出ではなかった。

「――それなら行って来ると好いわ。緑色と白の唐草模様のね」