Japanische Klassiker mit Furigana
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こうとう
黄灯
田中 貢太郎
Lesen Sie 黄灯 (こうとう) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.262 Zeichen · 21 Bildschirme
緑色の被をかけた電燈の光が、艶かしく榻の周囲を照らしていた。主翁は一眼見て、女はいつも木彫の人形のような顔をしてる伯爵夫人で、男は自動車の運転手と云うことを知った。主翁は悪い処へ来たものだと思ったが、どうしたものかもう熱病患者の見ている幻覚のような気がして、それ以上に心を苦しめることはなかった。主翁は書生の顔を見た。主翁はもう奇怪な書生に対する恐れもなくなっていた。書生は凄い笑顔を見せた後に右の手をあげて何も云うなと云うようにそれを揮った。
夫人と運転手は二人が入って来たことが判らないのか、話をそのまま続けていた。二人は何を話しているのか話し声は聞えなかった。主翁は演戯でも見るような気になっていた。
「もすこし待っておれ、今に面白い事件が起るぞ」
主翁の耳に書生の声が聞えた。
「この二人は、何をしている処でございましょう」
主翁はこう云って聞いてみた。
「伯爵が病気になったのを好いことにして、二人でこうして媾曳しているのだ、これも、俺が復讐にさしていることだ」
「それは、またどうしたわけでございます」
「もとの起りは、やっぱしこの不品行な夫人さ、俺と夫人との関係が知れると、あの悪党奴、ここにいるこの運転手に云いつけて、夜、俺が早稲田の先輩の家から帰るのを待ってて、石切橋の傍で轢殺したものだ、世間では、俺が主の知れ