Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうとう

黄灯

田中 貢太郎

Lesen Sie 黄灯 (こうとう) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.262 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

微暗い電燈の光が寒そうに光っていた。女房はもう黒いうわっ張を着て、長火鉢には鉄瓶をたぎらしてあった。

「雨はどうだ」

「やんでるよ、すぐ御飯にするから、瓦斯を点けて、表の戸を開けておくれよ」主翁は寒い風に当りたくなかった。それに家の外には鬼魅悪い暗い夜があった。

「飯のあとで好いじゃないか」

「好かあないよ、仕事の定がつかないから、お開けよ」

庖厨の方で飯の焦げつく匂いがした。女房は庖厨の方へ往った。

主翁は厭であったがそのうえぐずぐずしていると、また女房から臆病だとか何んとか云って嘲られるので、しかたなしに体を起して長火鉢の猫板の上に乗っているマッチを持ち、土間へおりて爪立つようにして瓦斯のねじを撚り、それにマッチの火を移した。威勢の好い蒼白い光が燃えて、豆をひく石臼や豆腐釜などを照らした。

瓦斯の火が済むと、マッチの箱を懐へ入れて、入口へ往って障子を開け、それから懸金になった錠前に指をかけた。錠前は氷のように冷たかった。指端の痛くなるほど力を入れてそれを外し、雨戸へ手をかけたが、得体の知れない怪物が戸の外に立っているような気がするので、恐ごわ開けた。