Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんのまくら
黄金の枕
田中 貢太郎
Lesen Sie 黄金の枕 (おうごんのまくら) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.073 Zeichen · 7 Bildschirme
主婦はちょっと腰を浮かして、自個の前の牀へ指をさした。
「は、私は隴西の者で、辛道度と申します、こうして、遊学しておりますが、路用が乏しいものですから、皆様に御厄介になっております、突然あがりまして恐縮します」
道度はまぶしいような顔をして立った。
「そのことは、もう、これから伺っております」
と、言って主婦は女の方をちらと見た。
「さあ、そこへお掛けくださいまし」
道度はやっと主婦の前へ往って腰を掛けた。それを見ると女は出て往った。
「私も一人で、淋しくて困っておるところでございます、御迷惑でも、面白いお話を聞かせて戴きましょう」
道度は息詰るような気がして顔をまっすぐにすることができなかったが、しだいにくつろぎを感じてきた。主婦は白いすき透るような顔へうっすらと頬紅をさしていた。
「そうしてお歩きになっておりますと、ずいぶん面白いこともございましょう」
綺麗な主婦はすこしの隔ても置かずに道度の相手になった。柔かな婦人の言葉は若い男の耳に心好い響を伝えた。
「私ほど不幸な者は他にありませんよ」
主婦はこんなことも言って笑顔をした。
そこへ二人の女が食膳を運んできた。