Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
きっとそこらにうろついているに違いない、ちょっと僕は。おい、姉さん帰りに寄ろう。」
「お気をお着け遊ばしていらっしゃいましよ。」
島野は多磨太が先じたりと聞くより、胸の内安からず、あたふた床几を離れて立ったが、いざとなると、さて容易な処ではない。ほぼ一町もあるという、森の彼方にどうどうと響く滝の音は、大河を倒に懸けたように聞えて、その毛穴はここに居る身にもぞッと立った。島野は逡巡して立っている。
折から堤防伝いに蹄の音、一人砂烟を立てて、斜に小さく、空を駆けるかと見る見る近づき、懸茶屋の彼方から歩を緩めて、悠然と打って来た。茶屋の際の葉柳の下枝を潜って、ぬっくりと黒く顕われたのは、鬣から尾に至るまで六尺、長の高きこと三尺、全身墨のごとくにして夜眼一点の白あり、名を夕立といって知事の君が秘蔵の愛馬。島野は一目見て驚いて呆れた。しっくりと西洋鞍置いたるに胸を張って跨ったのは、美髯広額の君ではなく、一個白面の美少年。頭髪柔かにやや乱れた額少しく汗ばんで、玉洗えるがごとき頬のあたりを、さらさらと払った葉柳の枝を、一掴み馬上に掻遣り、片手に手綱を控えながら、一蹄三歩、懸茶屋の前に来ると、件の異彩ある目に逸疾く島野を見着けた。