Japanische Klassiker mit Furigana
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くろふねぜんご
黒船前後・志士と経済他十六篇
服部 之総
Lesen Sie 黒船前後・志士と経済他十六篇 (くろふねぜんご) von 服部 之総 (はっとりしそう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.901 Zeichen · 247 Bildschirme
そのくせ自分だけは、けっしてしかく割切れてはいないのである。小ブルジョアジーが分解して、大量のプロレタリアートとごく少数のブルジョアジーに自己を形成してゆく。万年雪がとけて流れるように、この分解の行程が、明治のはじめから今日まで、ある時は急に他の時は徐々に、とめどなく進行している。
足の底から分解しつつある自己にとってはなにやら無気味で苛だたしいリズムがきこえるだけで、親のかたきの金持ちの道への、はらだちだけがとめどなく湧く。そうした小ブルジョアかたぎの筆の先にのぼった蓮月尼は、泥坊以上のさいなんに逢ったというものである。
蓮月尼は、この記事が出てから四月ほどのち、明治八年十二月十日に、八十五で死んでいる。彼女のような経歴のもちぬしによくあるように、たぶん前の日まで、蓮月焼に歌を書きこんでいたのかも知れぬ。彼女の四十年間にわたる大量生産のおかげで、にせものでない蓮月焼の一つが、わたしの手もとにも存在する。瀬戸の手づくりのせん茶の急須で、茶わんはなく、急須一つある。蓋をのぞけば内側にうわぐすりがにぶく光っており、外側も蓋も素焼である。蓋の把手は葉を二枚つけた桃の実で、すべて陶工の作品であろうが、胴いちめんに巧みな配合で書かれている和歌と署名は、まぎれない蓮月尼じしんのものである。