Japanische Klassiker mit Furigana
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くろふねぜんご
黒船前後・志士と経済他十六篇
服部 之総
Lesen Sie 黒船前後・志士と経済他十六篇 (くろふねぜんご) von 服部 之総 (はっとりしそう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.901 Zeichen · 247 Bildschirme
三
相手の質問のなかに言外の意味が含まれた場合には、川路の顔に軽い微笑が浮ぶ――「民族、服装、言語、宗教、人生観は異っても、賢明な人には共通の表象がある。馬鹿には馬鹿の共通点があるように」川路に感心したのは一人ゴンチャロフだけではなかったらしい。
その川路が、プチャーチンにこんなふうにいう。
「娘が成人すれば嫁にやりますが、我が国の貿易はまだ成人しないのです……」
とても通商条約どころではなさそうに思われた。物品の贈答さえ一朝一夕の手続ではなかった。
ある日、露艦の水兵がウオトカの空罎を日本人にくれたというので、通詞の森山栄之助があわてて飛んできた。
「それでどうかしたんですか?」
「罎を取戻すように命じて頂きたいので。でないと貰った者に不幸が起るのです」
「では海の中へ棄てたらいいでしょう」
「いいえ、こちらへ持って来ますから、あなたの方でお棄てになって下さい」
三
こんなふうだったのが、その年の暮になると、長崎といえどもかつてなき「緩優貿易の発端」となっていったのだ。
どうしてもう、娘になっていないどころではなく、安政四年、オランダに自由貿易が許された日から、長崎波止場は急におどろくほど活気づいた。