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Japanische Klassiker mit Furigana

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つづみくらべ

鼓くらべ

山本 周五郎

Lesen Sie 鼓くらべ (つづみくらべ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.577 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

「……いま思いだしたことがございますから、それを先にお話し申し上げるとしましょう」

「あたし家へ断りなしで来たのだから……」

「短いお話でございます、直ぐに済みます」

老人はそう云って、苦しそうにちょっと息を入れながら続けた。「……お嬢さまは正月の鼓くらべに、お城へお上りなさるのでございましょう」

「上ります」

「わたくしのお話も、その鼓くらべに関わりがございます。お嬢さまは御存じないかも知れませんが、昔……もうずいぶんまえに、観世の囃子方で市之亟という者と六郎兵衛という者が御前で鼓くらべをしたことがございました」

「知っています、友割り鼓のことでしょう」

「御存じでございますか」

十余年まえに、観世市之亟と六郎兵衛という二人の囃子方があって、小鼓を打たせては竜虎と呼ばれていたが、二人とも負け嫌いな烈しい性質で、常づね互に相手を凌ごうとせり合っていた。……それが或年の正月、領主前田侯の御前で鼓くらべをした。どちらにとっても一代の名を争う勝負だったが、殊に市之亟の意気は凄じく、曲なかばに到るや、精根を尽くして打込む気合で、遂に相手の六郎兵衛の鼓を割らせてしまった。