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Japanische Klassiker mit Furigana

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つづみくらべ

鼓くらべ

山本 周五郎

Lesen Sie 鼓くらべ (つづみくらべ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.577 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

打込む気合だけで、相手の打っている鼓の皮を割ったのである。一座はその神技に驚嘆して、「友割りの鼓」といまに語り伝えている。

「わたくしは福井の者ですが」

と老人は話を続けた。「……あのときの騒ぎはよく知って居ります、市之亟の評判はたいそうなものでございました。……けれど、それほどの面目をほどこした市之亟が、それから間もなく何処かへ去って、行衛知れずになったということを御存じでございますか」

「それも知っています。あまり技が神に入ってしまったので、神隠しにあったのだと聞いています」

「そうかも知れません、本当にそうかも知れません」

老人は息を休めてから云った。「……市之亟はある夜自分で、鼓を持つ方の腕を折り、生きている限り鼓は持たぬと誓って、何処ともなく去ったと申します。……わたくしはその話を聞いたときに斯う思いました。すべて芸術は人の心をたのしませ、清くし、高めるために役立つべきもので、そのために誰かを負かそうとしたり、人を押退けて自分だけの欲を満足させたりする道具にすべきではない。鼓を打つにも、絵を描くにも、清浄な温かい心がない限りなんの値打もない。