Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

おせん

おせん

邦枝 完二

Lee おせん de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 74.074 caracteres · 148 pantallas

Aozora Bunko

ゆうべの夢見が忘れられぬであろう。葉隠れにちょいと覗いた青蛙は、今にも落ちかかった三角頭に、陽射しを眩ゆく避けていた。

「駕籠屋さん」

ふと、おせんが声をかけた。

「へえ」

「こっち側だけ、垂を揚げておくんなさいな」

「なんでげすッて」

「花が見とうござんすのさ」

「合点でげす」

先棒と後との声は、正に一緒であった。駕籠が地上におろされると同時に、池に面した右手の垂は、颯とばかりにはね揚げられた。

「まァ綺麗だこと」

「でげすからあっしらが、さっきッからいってたじゃござんせんか。こんないい景色ァ、毎朝見られる図じゃァねえッて。――ごらんなせえやし。お前さんの姿が見えたら、つぼんでいた花が、あの通り一遍に咲きやしたぜ」

「ちげえねえ。葉ッぱにとまってた蛙の野郎までが、あんな大きな眼を開きゃァがった」

「もういいから、やっておくんなさい」

「そんなら、ゆっくりめえりやしょう。――おせんちゃんが垂を揚げておくんなさりゃ、どんなに肩身が広いか知れやァしねえ。のう竹」

「そうともそうとも。こうなったら、急いでくれろと頼まれても、足がいうことを聞きませんや。あっしと仙蔵との、役得でげさァね」