Clásicos japoneses con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lee 丹下左膳 (たんげさぜん) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 241.861 caracteres · 480 pantallas
「当方にとってこそ、絶大なる価値を有する壺、だが、其許には、なんの用もないはず。おだやかにお渡しくだすって、千万かたじけない」
左膳、女物の派手な長襦袢からのぞいている、痩せっこけた胡坐の毛脛を、ガリガリ掻いて、
「ウフフフ、あんまりおだやかでもなかったぜ。今になって礼を言われりゃア世話アねえや」
チョビ安もゆるされて、ピョッコリ起きあがって、ちょこなんとすわっています。
お藤も手を放されて、居住いをなおすなかに、つと声をあらためた高大之進、
「役目のおもて、大之進、お茶壺拝見」
おごそかに言いながら、ピョイと蓋をはじいた。
蓋は軽い桐材。四角い紙のように、ピョンと飛んで畳を打つ。
のぞきこんだ大之進といっしょに部屋中の眼が箱の中へ――
赤い絹紐であんだすがりの網に包まれて、柳生名物の茶壺、耳こけ猿が、ピッタリとその神秘の口を閉ざし、黒く黙々とすわっている……のが、一瞬間、みなの眼に見えた。
だが。
錯覚。そうと思いこんだ眼に、一時それが実在のごとく閃めいただけで、恋しなつかしのこけ猿の茶壺! と、思いきや!
鍋なんだ、中にはいっているのは。
破れ鍋が一つ、箱の底にゴロッと転がっているんです。