Clásicos japoneses con furigana
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よげん
予言
久生 十蘭
Lee 予言 (よげん) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 14.000 caracteres · 27 pantallas
、海へ突きだした古い城壁のある、島の生臭い屋台店の並んだ坂の上の「チ・テレース」という料亭へおしあがった。三人はテラスへ出て、夕陽に染まりかけたヴェスヴィオを眺めながらヴィーノを飲んでいると、エオリアンという小さなハープとマンドリンを持った二人連れの流しがきて、いい声で唄をうたった。
そのうちに安部は、テラスにこうして坐っていることも、このナポリ湾の夕焼けの色も、流しの音楽も、すぐそばで揺ぐ橄欖の葉ずれの音も、なにもかもひっくるめて、このままのことが、たしかに過去に一度あったような気がしてきた。どういうところからこういう情緒がひき起されたのかと、気の沈むほど考えているうちに、いつかの石黒の手紙の中に、この景色があったのではなかったかと、ふとそう思うと、われともなく吐むねをつかれた。ちょうどそれを読み終ったところへ、知世子が入ってきたので、なにげなく机の上のスケッチ・ブックの間へ挟んだようだったが、そのスケッチ・ブックなら、船の倉庫室の大トランクに入っている。安部は船に帰ってあの手紙を読みかえし、事実かどうか確かめてみたいという苛立ちで、あたりの景色が眼に入らなくなってしまった。