Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lee 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.721 caracteres · 296 pantallas

Aozora Bunko

おしのはそっと顔をそむけた。

夕方になり、父が眠っているのを慥かめて、おしのは石町の伊勢久を訪ねた。「伊勢久」は瀬戸物問屋で、主婦のおとよは古くから母と親しくしていた。縹緻もよくないし、ひどく肥えていて躯つきもみにくいが、派手づくりで遊び好きなところは母とよく似ていた。日本橋通り二丁目の、吉井屋の妻女もそのなかまであるが、住居が近いためか、気性が合っているからか伊勢久の妻女のほうが、母とはもっとも親しかった。二十九日に「往き帰り七日」ということででかけたとすると、四日はその帰る日に当っている。もし伊勢久で帰っていたら、すぐに亀戸へ迎えをやるつもりであったが、訪ねてゆくとおとよはいた。――肥え太った躯に派手すぎる小袖を着、反り返るような恰好で出て来たおとよは、おしのの問いに首を振り、子供のような細い声で、あたしは知らない、と答えた。

「だって」おしのは戸惑った、「吉井屋のおばさんといっしょに、うちのおっ母さんと江ノ島へいらしったんじゃないんですか」

「いかないわよ」とおとよはまた首を振った、「吉井屋のおはんさんも、二日の晩からきのう夕方まで、泊りがけでうちへ来ていたわよ」